シンポジウム
「−地域遺伝子資源に配慮した− 地域性種苗の諸問題開催



開催趣旨
 従来、特に自然再生に係る緑化においては、郷土種、在来種の適 用が好ましいとされてきたが、コマツナギの種子、クヌギの苗木などの多くにみるように、 中国産、韓国産の種苗が用いられてきた。
 また、近年、関東産のシラカシを関西地域で用いるように、同じ国内産であっても地域的にみて 異なる系統群の種苗を用いてきた例がある。このような地域遺伝子資源への配慮を欠く緑化材料植物の適用は、 わが国の生物多様性保全の観点や地域生態系保全の観点からみても好ましいとはいえない。
 こういった状況の中で、この地域遺伝子資源保全の重要性への認識は、 環境省の特定外来生物法をはじめとした外来種・移入種の問題点への対策の具現化にみるように 緊急の課題として考えられるようになってきた。
 しかしながら、地域遺伝子資源という場合、それぞれの樹種について、地域的な遺伝変異がどの程度あるのか、 その遺伝変異の地理的なまとまりはどれくらいの範囲なのかという点について、 DNAマーカーを用いた学術的な確たる根拠づけが必要であるにもかかわらず、 その整理が現段階で不十分であるのが現状である。それにもかかわらず、 全国においてこの、いわば遺伝子汚染は日々深刻となっている現状から、 緑化現場での対策と学術的な根拠付けを並行させながら進めていく必要に迫られている。
 今回企画したシンポジウムは、全国シンポジウムとして、地域遺伝子資源に係る緑化樹木生産者、 関連行政担当者、ならびに学術的研究をすすめる研究者の産・官・学の代表を集め、 将来的にみて必要な課題の整理を試みるとともに、緑化・自然再生事業に供給する地域性種苗供給に際して、 その現状を共通認識として持つとともに、現実的な対応策をともに考えようとするものである。

シンポジウム内容
■日 時 2005年7月23日(土) 13:00〜16:30

■場 所 京大会館 101会議室(京都市左京区吉田河原町15-9)

■参加費 無料(事前申し込み不要)

■内 容 
 【講演】
  講演1.地域遺伝子資源研究の現状と地域性種苗のあり方
     湯本 貴和(総合地球環境学研究所)

  講演2.緑化材料の産地表示に関するシステム確立上の諸問題
     山田 和司(日本緑化センター)

  講演3.地域性緑化樹木の生産供給体制の現状と課題
     国忠 征美(日本植木協会)

  講演4.新しい緑の考え方(グリーンマネジメントガイドライン案について)
     橋本 拓己(国土交通省 近畿地方整備局 道路部 計画調整課長)


【パネルディスカッション】
  司 会  高田研一(森林再生支援センター常務理事)
  パネラー 国忠征美、橋本拓己、村田源(森林再生支援センター理事長)、山田和司、湯本貴和

案内チラシ(PDFファイル)