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■地域との関わりと活動の広がり〜島田俊平さん(山仕事サークル杉良太郎(すぎよしたろう))

◆日時:平成14年1月23日(土)13:30
◆場所:京都府
◆お話:杉良太郎(すぎよしたろう) 島田さん
◆聞き手:田村(京都府林務課)、下村(森林再生支援センター)
 

 

島田さん

■活動のこれまで

田村・下村:
今日はお越し頂きありがとうございます。よろしくお願いします。
島田:
よろしくお願いします。
田村:
早速ですが、まず会の活動の起こりについて教えてください。
島田:
設立は1998年です。最初は、NGO熱帯林京都の内部団体でした。日本企業が熱帯林を伐採して大量の熱帯材を輸入している現状を批判したり、行政に対して提言をしたりしていたのですが、そこから、じゃあなぜ日本国内の木が使われないのだろう、という問題意識が生まれて、日本の林業についてちゃんと知ろう、ということで日本の山に関わっていく活動が始まりました。フィールドとして、京都林務事務所の白石さん(現・京都府林務課)から雲ヶ畑森林組合を紹介され、活動を開始しました。
当時は、ボランティアというより作業体験といったことで森林組合の組合長さんの私有林で作業しました。
田村:
今ではどんな風になってきているんですか?
島田:
99年6月のミーティングで広く募っての再スタートとなり、1年目のオリジナルメンバーは就職や引っ越しでいなくなり、熱帯林の方とは既に独立した団体という感じになっています。僕自身その時点からの参加です。
今は4年経ち、ようやくひととおりの作業を経験できたといったところです。
田村:
ひととおりというと。
島田:
間伐、主伐、植栽、下刈、鳥獣害ネット設置、苗木づくりといったところです。
今までは組合の山で作業させてもらっていたのですが、去年くらいからそれ以外の山も、指導者の方のお友達の山なんですけど、作業もさせてもらえるようになってきました。
下村:
活動される上で特に気をつけられていることとかありますか?
島田:
普段の作業から、メンバーだけでなく、必ず指導者の方についてもらうようにしています。
安全の指導は徹底するようにしていますが、どうしても甘くなりがちなような気がしています。今のところ事故は起きていませんが。
あと、一年間有効の保険を全員自費で掛けてもらっています。
 

■メンバーシップなど

下村:
会のメンバーの構成はどんな感じなんでしょうか?
島田:
メンバー登録とかやっていないので、正確にはわからないのですが、コアとなっているのは15人くらい。2000年の年間参加者は延べ188人、一日あたりだと11人くらいという数字があります。
下村:
杉良太郎さんは若いメンバーが多いという印象があります。
島田:
そうですね。京大、府大、精華大、同志社大、京産大などの大学生が多いですが、社会人の方も、65才とか85才という方もいて、年齢的には幅広いです。
田村:
皆さんどんなきっかけで加入されるんでしょうか?
島田:
チラシやホームページ、新聞記事などを見て問い合わせてこられる人が多いですね。そういうのは社会人の方に多いです。学生の場合は友達経由とかが結構効いていますね。
田村:
会のポリシーというのはどんなものでしょうか?
島田:
杉良のポリシーについてみんなで話たことがあって、その議事録があるので、今度お目にかけます。
でも、各々の参加動機はばらばらですね。大学で林学をやっているひとは割と専門的な問題意識持ってますし、アウトドアとか山歩きが好きで、ということで始めた人もいます。でもみんなで共通しているのは、楽しんでやっているというところです。 
田村:
山仕事やっていて、楽しさが実感できる時ってどんな時ですか?
島田:
作業の後の充実感とか、木が倒れるときの迫力はなんとも言えませんね。あと林業をされている、年上の方とか、交流できること。後は鹿肉を食べられることとか(笑)。
もっとうまく山仕事ができるようになりたいっていう気持ちがあります。だから前できなかったことが出来るようになるのが嬉しいですね。
田村:
皆さんハマッてるという感じですね(笑)。
島田:
そんな感じです。
あと、学生団体という枠というか割り切りっていうのかな、そういうのも必要かな、というところもあります。継続的な世代交代が可能になるという点で。これについても少しずつしくみができてきたところです。大学を卒業しても、夏の泊まりがけ合宿みたいなのには遠くから参加してくれる先輩も多いですね。
 

■活動の展開と課題

田村:
現在の活動の展開は?
島田:
去年くらいから木工とか発電とかいろいろ活動に広がりが出てきて、コアメンバー間でプロジェクト毎の分担をするようになってきました。そういうこともあって、全体の分担などの組織的なこと、会計のことなども考えるようになってきました。
ミーティングを月1回やっていて、毎回のミーティングではひととおり運営の話をした後に、森林や林業をテーマにしたミニ勉強会をしています。
田村:
今後フィールドを拡大したりといったことについてどうお考えですか?
島田:
雲ヶ畑で続けること、組合や地域の方々との関係をじっくりつくるのが大切だと思います。関わり続けることで、林の成長も実感できるというところがあるので、ホームグラウンドとしてもっと入り込んで、地に足のついた活動を続けたいですね。また、会の大きさをあんまり大きくしてしまうと大変だという話も聞くので、ムリに大きくしたいとは思わないですね。ただ会を続けるにはある程度は規模もいるし、サイズについては模索中というか課題ですね。
下村:
現在の活動の課題には、他にどんなものがありますか?
島田:
学生なので、ちゃんとやってるつもりなんですけど、やっぱり非常識というか社会通念上の配慮に欠けるところがあるみたいです。あちらもちょっとカタいんじゃないかなーなんて思うこともありますけど(笑)、「まず、○○さんに話しを通してくれ」なんてところを間違えて失礼なことになってしまったりしたこともありました。でも、いろんな調査をさせてもらったりしながら4年がたって、雲ヶ畑では市民権をもらえたかな、という感じを持っています。
もう一つの課題は、活動資金が助成金に依存してしまっていることですね。
下村:
会費とかは?
島田:
集めていません。国土緑化推進機構から助成してもらっているのですが、いつまでももらえるわけではないので...
そんな中、今年は、そんなに多くはありませんが、作業に対する報酬がもらえたのは嬉しかったですね。ボランティアとはいっても、まったく無償ではしんどいこともあります。
将来はちゃんとした技術をを背景に、お金をもらえるようになれたらなあ、と思います。
 

■他とのかかわり〜連携への期待

田村:
最近は活動にいろいろな幅が出てきたということですが、そういうなかで他のグループとつきあうこともありましたか?
島田:
ええ、それはあります。10月に知恩寺で「復活市」というのをやったのですが、これは、「SAGE」、「古材バンクの会」といったグループとの連携でやりました。その他、塩本さんがいる「みどりの会桃山」、大阪の「里山倶楽部」、「木匠塾」...
田村:
「木匠塾」ってどんなグループですか?
下村:
これはうちの大学(京都造形芸術大学)にもありますけど、建築系有志の学生がやってるやつで、自分で手を動かして木でモノを作ってしまうという活動をしていますね。
島田:
ええ、その木匠です。彼らと僕らで一緒に間伐、製材を行いました。次の夏休みに岐阜県の加子母村でその間伐材を使って木造建築を建てる予定です。そんなところと交流がありますね。
田村:
山関係の団体、いろいろ活動されてますがやはり他が何やってるかというのは気になりますか?
島田:
やっぱり知りたいですね。連携したいと常々思っています。情報交換とか、共同でイベントを起こせたらなあと思います。
田村:
行政の動き等についての情報はどうですか?
島田:
そういうことは知らないといけないと思うので、自主的に勉強会で取り上げるようにしています。またメンバーに行政マンが入っていてくれているのは大きいですね。
田村:
森林組合というのは、どのような団体と思われますか?
島田:
雲ヶ畑ではすごい影響力というか存在感がありますね。アンケートなんかも組合を通すと間違いなく配布できたりとか。でもちょっと気を遣うところもあります。
 

■地域とのかかわり

田村:
こういう活動が、山の現状の問題に対してどのような寄与ができるとお考えですか?
島田:
こういう活動で全部の問題を解決できるわけじゃないし....そーですねー....産業としての林業は衰退していっていて、趣味とかサイドビジネスになっていくというのもあるかもしれませんが、やっぱり母体になる産業が続いてほしいですね...
活動していて実感したんですが、街の人、若い人が山に入ることが村の人の自信なり喜びなりにつながる場面もあったようです。私たちのこうした行動が、雲ヶ畑の林業家の方々自身が林業を見つめなおすきっかけになった、勇気付けられたと言ってもらえたことがあって、うれしかったです。僕たちの方も、最初はなりわいとしての林業というものをイメージできてなかったけど、人の仕事というもの、林業の重みというものを知ることができました。
雲ヶ畑は京都市内ですけど昔の集落って感じのところで、最初こそちょっと閉鎖的な印象もありましたが、じっくりつきあうことで良い関係が育ってきたと思います。これを大切にしていきたいですね。
田村:
なるほど。素晴らしい活動をされていますね。最後にこれから山の活動に関わって行きたいという人に、メッセージなりアドバイスをお願いします。
島田:
そうですねえ。「一回一緒に山に行こうよ」ということですね。あんまりカチカチにならずに。山に入ると自然と興味も広がってきます。ただ、組合とか山持ちさんとつきあうときは、しっかり信頼関係を築くことが大事ですね。
あと、継続して初めて見えてくることもたくさんあるので、長く付き合ってほしいな、と思います。
田村・下村:
今日はなんかいいお話をたくさん伺えたと思います。どうもありがとうございました。
 

若々しい団体ながら、しっかりと地域に根付き、関係を育てているというお話に感銘を受けました。
バイオマス関連の試みなど、今後の活動の広がりにも期待したいと思います。
島田さん、どうもありがとうございました。
 
山仕事サークル杉良太郎 ホームページ http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Labo/2980/ もご覧ください。

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