シカと森と人の関係を考える
エクスカーション&シンポジウムを開催



開催趣旨
 奈良公園に隣接する世界遺産である春日山原生林、および国立公園特別保護地区である大台ヶ原・大峰山脈は原生的環境をよく残す自然としてわが国を代表する森の一つである。 前者は古くから守られてきた照葉樹林であり、後者は温帯から亜高山帯に至る連続した自然植生を有する。
 しかしながら最近30年間にこれらの森に生じた、多くの植物が失われるという変化については、一般にはほとんど知られていない。 しかもこのような変化はここ奈良に限ったことではない。全国の山々で同様の事態がつぎつぎと起こっているのである。
 大型草食動物であるシカの個体数増加と植生変化の時期が一致することから、シカの採食による野生植物への圧力が懸念されている。
 そこで本事業では全国の植生変化の現状や多様性保全のための試みを広く市民に知らせ、ありうべき対応策への合意形成の一助となることを目的とする。
 ※本事業は「独立行政法人環境再生保全機構 平成16年度地球環境基金」の助成を受けて開催しました。

【後援】奈良教育大学・奈良新聞社・奈良県教育委員会・総合地球環境学研究所・
     関西自然保護機構・環境再生保全機構・環境省

エクスカーション内容
■日 時 2004年11月27日(土) 12:00〜16:30
■場 所 大台ヶ原 
■内 容 〜大台ヶ原の森の「今」をたしかめる〜

   7:30 JR奈良駅前で受付開始
   8:30 JR奈良駅前出発(貸切バス)
  12:00 大台ヶ原駐車場到着、昼食
       柵のなかのブナ林コース
       正木ヶ原のトウヒ林コース
  16:30 大台ヶ原駐車場出発
  20:00 JR奈良駅前到着

     現地解説:湯本貴和・松井淳・高田研一ほか
     参加費:2,000円(事前申し込み必要)

シンポジウム内容
■日 時 2004年11月28日(日) 10:00〜17:00
■場 所 奈良教育大学 講堂(奈良市高畑町) 
■内 容 〜シカと森の「今」をたしかめる〜

 【講演】
〈セッション1〉奈良の森で起こっていること
  座長 村上興正(同志社大学)
  演者 横田岳人(龍谷大学)
      日野輝明(森林総合研究所関西支所)
      岩本泉治(森と人のネットワーク・奈良)
      前迫ゆり(奈良佐保短期大学)

〈セッション2〉エゾシカの個体数変動と植生変化−30年間の追跡−
  座長 松井 淳(奈良教育大学)
  演者 常田邦彦(自然環境研究センター)
      梶 光一(北海道環境科学研究センター)
      松田裕之(横浜国立大学)

〈セッション3〉世界遺産屋久島の現状と取り組み
  座長 湯本貴和(総合地球環境学研究所)
  演者 矢原徹一(九州大学大学院)
      立澤史郎(北海道大学)
      手塚賢至(ヤクタネゴヨウ調査隊)

【パネルディスカッション】
  座長 松田裕之
  パネラー 梶光一・手塚賢至・常田邦彦・日野輝明・矢原徹一・徳田裕之(環境省)

     参加費:無料(事前申し込み不要)